手術中の痛みは?

インプラント治療の手術中には、埋入部位にきちんと局所麻酔をしてから行います。よって切開手術であっても全身麻酔が必要なような痛みを感じることはあまりありません。
たまに「以前、他の歯科医院で部分麻酔が効きにくかった」と言われる患者さんがいらっしゃいます。歯科医療において麻酔が効きにくいという時は、歯肉の中が膿んでしまっていたり急性炎症が強い場合や、下顎の奥歯の場合が多いです。しかし、きちんと麻酔を行えば、今まで麻酔が効かなかったことは、ほとんどありません。また、歯科矯正のような頻繁な治療回数も必要ありませんので、今の段階では恐怖心をお持ちの方でも安心してもらえるかと思います。力を抜いて、リラックスした状態で施術を受けていただければと思います。

  • インプラント治療手術前に痛みの少ない局部麻酔を埋入位置へきちんと行います
  • インプラント治療手術中もしっかり麻酔が効いています

手術後の痛み、腫れは?

骨が十分にある場合

ほとんどの場合、
手術後の痛みや腫れはありません
骨が十分にあると認められるケースで、骨造成無しの治療計画でインプラント治療を行う場合には、インプラント治療の手術後にも痛みと腫れはあまりありません。骨造成が必要か不要かは、歯科大学にあるような精密な歯科用CTによる診察で明らかになります。もちろん、当院にも常備してあります。

骨が十分にある

骨が十分にあり、骨造成が必要ない方

サイナスリフト(上顎洞挙上術)で
骨造成を行った場合

骨造成した後、上顎洞の膜はデリケートで破れやすいことがあり、
破れた場合、腫れと痛みが出ることが予想されます

想定できるリスクも事前にしっかりご説明します

まず骨造成とは、インプラントを埋入する上で顎の骨量が足りない場合に行うものです。現代歯科治療技術を結集し、CGFなどの骨補填剤や人工骨、患者さんの自家骨等を用いて、手術部位において足りない骨を造成する治療方法を言います。造成と聞くと抵抗感がありますが、ご自分の血液や骨から作るものですので、お体の自主治癒力に合った安全性の高いものになります。 サイナスリフト(上顎洞挙上術)を行った場合、「ラテラルアプローチ」「クレスタルアプローチ」という二通りの手術方法があり、後者はソケットリフトとも呼ばれます。
まず前者の「ラテラルアプローチ」では、上顎の奥歯の歯茎の粘膜を大きく切開、剥離したうえで、上顎骨の横から骨を開削し穴をあけそこから骨造成を行います。一度に多くの骨造成を行うことが出来るというメリットがありますが、大きな外科手術となるため、術後に大きく腫れやすいことがデメリットとして挙げられます。
後者の「クレスタルアプローチ(ソケットリフト)」は、上顎骨の下から開削するため、手術部分の歯茎の切開、剥離する量が少ないことで、出血や術後の腫れも少ないというメリットがあります。デメリットは、多くの骨造成を行う場合に、インプラント治療の術中の手間と時間が掛かることです。

サイナスリフト骨造成部分

上顎の奥歯が抜けていて、骨の量が少ない方

サイナスリフト
二通りの治療法

01ラテラルアプローチ
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    上顎洞側面の歯茎を切開。骨を削り、小さな窓を開けます。

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    上顎洞粘膜(シュナイダー膜)を持ち上げます。

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    空いたスペースに骨となる物質(CGF、AFG、骨補填材)を入れます。

一度に多くの骨造成が可能だが、術後に大きく腫れやすい

02クレスタルアプローチ(ソケットリフト)
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    骨の量が少ない(骨の厚みが足りない)とインプラントが突き出てしまいます。

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    上顎洞粘膜(シュナイダー膜)を傷つけないように、上顎洞底骨に穴を開け、骨となる物質(CGF、AFG、骨補填材)を入れ少しずつ上顎洞底部の粘膜を上げて骨造成して骨再生治療を行っていきます。

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    こうして骨の少ない方でも、十分な骨量を増骨させることでインプラントの挿入が可能になります。

術中の手間と時間が掛かるが、術後の腫れが少ない

**当院では痛みや腫れの少ない
クレスタルアプローチ

主に選んでいます

さらに、治療法だけでなく、
骨造成する際の「骨補填剤」の選択も重要になります

またどちらであっても、骨造成した後の上顎洞の膜はデリケートで破れやすいことがあり、何らかのトラブルにより破れた場合には、腫れと痛みが出ることが予想されます。その場合は、上顎洞内が炎症を起こし化膿してしまうのですが、ある程度であれば抗生剤で3〜4週間で治まります。炎症がひどい場合は、一度インプラントを外して、膿を出すことにより炎症を抑えることもあります。
この骨造成をする時、上顎洞内に入れる骨補填材の種類の選択がとても重要です。完全には吸収されない骨補填材を用いるとそれが原因で、炎症を起こした時にかなりの腫れや痛みが続くことが多いという注意点があります。当院では厚生労働省で認可されているβ-TCPと呼ばれる吸収性に優れた骨補填材を用いています。

厚生労働省認可「β-TCP」

またなるべく侵襲の少ない(腫れや痛みの少ない)インプラント治療を考えていますので、上顎の奥歯で骨が少ない場合は主に「クレスタルアプローチ(ソケットリフト)」で、腫れと痛みの少ないインプラントの治療法を選んでいます。

GBRで骨造成を行った場合

手術後すぐに腫れやすく、
感染による炎症
には注意が必要です
GBRで骨造成を行った場合は、手術個所の歯茎をどうしても切開し剥離を大きくする必要があるため、術後すぐに腫れやすいことがあります。
しかし、このGBRという骨造成の方法で特に注意しなければいけないことは、骨をたくさん増やすため、メタルティッシュと呼ばれる金属の非吸収性の遮断膜(メンブレン)を用いた際、術後から数ヶ月かけて骨が出来るまでに、粘膜が裂開をおこすと感染のリスクが高くなることです。
感染して炎症が起こると腫れたり痛みが出て、更には骨を大きく失ってしまう可能性がありますので、感染したと判断したら迅速にメタルの遮断膜(メンブレン)を外すなど、処置が必要となります。

GBR骨造成部分、遮断幕(メンブレン)

欠損した歯槽骨や顎骨などの骨組織の再生を促す治療方法

スプリットクレフトで
骨造成をした場合

手術後ある程度は腫れますが
数日でほとんど治まります
スプリットクレフトで骨造成をした場合、骨を割って広げるため、痛みはさほどありませんが、手術後ある程度は腫れることが考えられます。ただ、抗生物質と消炎鎮痛剤により手術後数日で大抵は治まります。

スプリットクレフト骨造成部分

骨が必要な量よりもやせている場合の治療方法

ソケットプリザベーションで
骨造成を行った場合

手術後にあまり腫れや痛みが起こりにくい
ソケットプリザベーションという骨造成を行った場合、歯が破折したなどで膿んでしまった状態で抜歯が必要である場合に、骨は抜歯により30~40%の骨を失ってしまうため、骨があまり減らないように、骨造成が必要となります。抜歯した後、感染した抜歯窩内をきれいに掻把します。そこにCGF(完全自己血液由来のフィブリンゲル)とAFGと骨補填材を混ぜたものを詰めていきます。このCGFなどが、骨造成に大きく役に立ってくれますが、もう一つのメリットとして、腫れと痛みを最小限に抑えてくれるということがあるため、CGFを用いると術後にあまり腫れや痛みが起こりにくくなります。

ソケットプリザベーション骨造成部分、抜歯

抜歯の際にCGFなどを「穴」に入れて骨を再生させる

当院でのインプラント治療で手術中に痛みを感じることはほとんどありません。
手術後の痛み、腫れに関しましては、骨が十分にある場合はほとんどありませんが、骨が少ないなどの場合、骨造成を行います。骨造成の方法により痛み、腫れなどが起こることもありますが、当院では骨造成する場合、できるだけ痛みに配慮し、腫れに配慮した低侵襲なインプラント治療を心掛けています。
インプラントは一般歯科治療よりも費用の掛かる自由診療ですので、より慎重な治療計画書に基づき、また、インプラントの埋入時だけでなく、セラミックの人工歯である上部構造物を取り付けるためのアバットメントを入れる際も、少し切開が必要となります。しかし少量の切開のため、埋入時とは違い痛みや腫れが起こることは少ないです。それが終われば、あとは型取りをして完成を待つだけで、矯正治療等よりも早く終わるケースがほとんどです。美味しいお食事を楽しみに、一緒に頑張っていきましょう!

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