インプラントの痛み、腫れは?
手術中の痛み
インプラント治療の手術中には、埋入部位にきちんと局所麻酔をしてから行いますので手術中に痛みを感じることはあまりありません。たまに以前他の歯科医院で麻酔が効きにくかったと言われる患者さんがみえますが、麻酔が効きにくいという時は、膿んだり急性炎症が強い場合や下顎の奥歯は効きにくいこともありますが、きちんと麻酔を行えば、今まで麻酔が効かなかったことは、ほとんどありませんので安心してもらえるかと思います
手術後の痛み、腫れ
骨が十分にある場合に、骨造成無しでインプラント治療の行う場合には、インプラント治療の手術後にもあまり痛みと腫れはありません。
サイナスリフト(上顎洞挙上術)を行った場合、二通りの治療方法があり、ラテラルアプローチとクレスタルアプローチがあり、後者はソケットリフトとも呼ばれます。まず前者のラテラルアプローチでは、上顎の奥歯の歯茎の粘膜を大きく切開、剥離したうえで、上顎骨の横から、骨を開削し骨造成を行います。メリットとしても一度に多くの骨造成を行うことが出来ることですが、デメリットとして、大きな外科手術となり、術後に大きく腫れやすいことが挙げられます。後者のクレスタルアプローチ(ソケットリフト)は、上顎骨の下から開削するのですが、歯茎の切開、剥離する量が少ないこともあり術後の腫れが少ないことがメリットです。デメリットは、多くの骨造成を行う場合に、インプラント治療の術中の手間と時間が掛かることです。
また、どちらであっても、骨造成した後、上顎洞の膜はデリケートで破れやすいことがあり、破れた場合腫れと痛みが出ることが予想されます。その場合は上顎洞内が、炎症を起こし化膿してしまうのですが、ある程度であれば、抗生剤で3~4週間で治まります。炎症がひどい場合は、一度インプラントを外して、膿を出すことにより炎症を抑えることもあります。この骨造成をしたとき、上顎洞内に入れる骨補填材の種類の選択が重要であり、完全には吸収されない骨補填材を用いると、炎症を起こしたときに、かなり腫れや痛みが続くことが多いため、当院では、βTCPと呼ばれる吸収性の骨補填材を用いています。またなるべく侵襲の少ない(腫れや痛みの少ない)インプラント治療を考えているので、上顎の奥歯で骨が少ない場合は、クレスタルアプローチ(ソケットリフト)で腫れと痛みの少ないインプラントの治療法を選んでいます
GBRで骨造成を行った場合、どうしても歯茎を切開、剥離を大きくするために、術後にすぐに腫れやすいことが挙げられます。しかしGBRという骨造成の方法で特に注意しなければいけないことは、骨をたくさん増やすために、メタルティッシュと呼ばれる金属の非吸収性の遮断膜(メンブレン)を用いた場合に術後から骨が数か月かけて出来るまでに、粘膜が裂開をおこすと感染のリスクが高くなることです。感染して炎症が起こると腫れたり 痛みが出て更には大きく骨を失ってしまう可能性があることが挙げられますので、感染したと判断したら迅速にメタルの遮断膜を外したりする必要が出てきます。
スプリットクレフトで骨造成をした場合、骨を割って広げるため、痛みはさほどありませんが、手術後ある程度は腫れることが考えられます。ただ、抗生物質と消炎鎮痛剤により手術後数日で大抵は治まります。
ソケットプリザベーションという骨造成を行った場合、歯が破折したなどで膿んでしまった状態で抜歯が必要である場合に、骨は抜歯により30~40%の骨を失ってしまうため、骨があまり減らないように、骨造成が必要となります。抜歯した後、感染した抜歯窩内をきれいに掻把します。そこにCGF(完全自己血液由来のフィブリンゲル)とAFGと骨補填材を混ぜたものを詰めていきます。このCGFなどが、骨造成に大きく役に立ってくれますが、もう一つのメリットとして、腫れと痛みを最小限に抑えてくれるということがあるため、CGFを用いると術後にあまり腫れや痛みが起こりにくくなります